Web制作コラム

コーディング代行は生成AIに取って代わられるのか|価格帯ごとに考える

比較・選び方

バックエンドの実装ではAIのほうが速い場面が増えました。ではHTMLコーディングはどうか。制作の価格帯を3つに分けて考えます。

PHPやJavaScriptのようなバックエンド寄りの実装について言えば、生成AIはかなり優秀です。仕様を渡せば、人が書くよりはるかに速く動くコードが出てきます。定型的な処理であれば、精度も実用の水準にあります。

ではWebサイト制作におけるHTMLコーディングはどうか。同じように置き換わるのか。ここは分けて考える必要があると思っています。

プログラムとHTMLは、正解の決まり方が違う

プログラムには正解があります。入力に対して期待どおりの出力が返るかどうかで判定できる。テストが書ければ、合っているかどうかを機械が確かめられます。

HTMLコーディングは違います。求められているのは「デザインどおりに見えること」で、しかもその「どおり」が、画面幅、文字数、画像の有無、更新後の状態といった無数の条件のなかで保たれていなければなりません。判定の基準がデザインデータの中にしか無く、それを言葉で全部書き出すことができない。

AIが不得意なのは、まさにここです。

発注先は3つの価格帯に分かれている

企業のホームページ制作を外注するとき、制作会社はおおまかに3つの価格帯に分かれていると考えています。どこに当てはまるかで、AIの影響の受け方はまったく違います。

価格帯制作の中身AIに置き換わるか
30万円以下テンプレートベース。細かいデザインには対応しない高い
100万円前後完全オリジナルデザイン。作り込みが多い低い
500万円以上数百ページ規模。量産ページが多い一部は高い

※ 横にスクロールできます

1. 30万円以下の格安制作 ― 置き換わる可能性が高い

この価格帯は、そもそもテンプレートをベースにしていることが多く、細かなデザインには対応していないのが実情です。決まった型に文字と写真を流し込む形で仕上げます。

この作り方であれば、生成AIでも十分に代替できます。むしろAIのほうが向いています。型が決まっていて、判断の余地が少ないほど、AIの精度は上がるからです。

ノーコードのツールやテンプレート販売も同じ方向から競合します。この価格帯は、今後さらに価格が下がるか、サービスの形そのものが変わっていくと思います。

これは制作の質が低いという話ではありません。型に沿った制作は、目的が合っていれば合理的な選択です。ただ、その作業自体はAIが得意とする領域と重なります。

2. 100万円前後の一般的な制作 ― 人の手が要る

この価格帯は、デザインが完全オリジナルです。ページごとに構成が違い、細部の作り込みも多い。ここを現在の生成AIのレベルで忠実に再現するのは、まず無理だと考えています。

理由をいくつか挙げます。

  • デザインデータから余白や比率を正確に読み取れない(近い値にはなるが、合わない)
  • 中間の画面幅での見え方が指定されていないので、判断が必要になる
  • 文字数が増減したとき、どこで折り返し、どこを省略するかを決められない
  • 共通部品の切り出し方が設計できず、同じスタイルが重複する
  • WordPressで更新される前提の「可変する箇所」を想定できない

3番目と5番目が特に大きい問題です。デザインは1つの状態を描いたものですが、実際のサイトは中身が変わり続けます。お知らせが0件のとき、タイトルが2行になったとき、写真が未登録のとき。こうした状態はデザインデータのどこにも描かれていません。

人がコーディングするときは、この「描かれていない状態」を想定して組みます。何を想定すべきかは、デザインからは読み取れません。過去に何が起きたかを知っているかどうかの差です。

つまりこの価格帯では、AIは下書きを速くする道具にはなっても、仕上げまでは担えません。出てきたコードを人が構造から組み直すことになり、結局は人がコーディングする必要があります。

3. 500万円以上の大企業向け ― 量産部分は向いている

大企業のコーポレートサイトになると、ページ数が数百ページに及ぶことも珍しくありません。

この規模では、ページの大半が量産ページです。テンプレートを決めてしまえば、あとは中身を流し込むだけ。この流し込みの作業は、AIに向いていると思います。

  • 既存の原稿をテンプレートの構造に落とし込む
  • 同じ形のページを大量に生成する
  • 旧サイトから新サイトへ、構造を変えながら移行する
  • 数百ページのリンク切れや表記ゆれを洗い出す

むしろ、この作業を人海戦術でやっているのが現状です。ここはAIの導入で大きく変わる領域だと思います。

ただし、テンプレートそのものの設計は残ります。どういう型を用意すれば数百ページが破綻せずに収まるかを決める作業は、AIには渡せません。ここは2番目の価格帯と同じ性質の仕事です。

結局、何が残るのか

3つを並べると、AIが置き換えるのは「型が決まっている作業」であることが見えてきます。

  1. 型が決まっていて、判断の余地が少ない … AIが速い
  2. 型そのものを決める … 人の仕事
  3. 描かれていない状態を想定する … 人の仕事

格安制作は1に寄っているので影響を強く受け、大企業向けは1と2が混在しているので部分的に変わり、100万円前後の制作は2と3が中心なので当面は残る。そう整理できます。

AIをどう使うか

使わないという話ではありません。実際、当社でも下書きや調査には使っています。

  • 繰り返しの多い部分を量産する
  • 書き方を調べる、別の書き方を検討する
  • 既存コードの意図を読み解く
  • 表記ゆれやリンク切れを機械的に洗い出す

出てきたものを人が構造から整え直す、という使い方なら速くなります。そのまま納品すると、運用に入ってから差が出ます。

ワプラボがターゲットにしているところ

当社がお手伝いしているのは、2番目――100万円前後の一般的なホームページ制作をされている制作会社さまです。

デザインは完全オリジナルで、細部まで作り込まれている。だからこそ、可変する箇所や、描かれていない状態まで想定して組む必要がある。その部分を引き受けるのが当社の役割だと考えています。

予算感もこの価格帯に合わせています。テンプレートで足りる案件を安く量産するのではなく、オリジナルデザインを正確に形にするところに時間をかける前提の料金設定です。

デザインデータをお預かりした段階で、文字数が増えた場合、項目が0件の場合まで含めて確認したうえで着手します。まずは案件の内容をお聞かせください。

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